実家の片づけバイブル その1
今月は「捨てない親への対処法」を書きます。
こんな方々が急増しています!
・実家が散らかっていてどうも帰省する気になれない
・親はなんでもとって置くといって捨ててくれない
・売却、賃貸??その前に断捨離しないとどうにもならない! ETC・・・
アクティブシニアの方なら、まだしも幼少期に戦争の体験をしている80代は、モノを所有していることが「豊かさの価値」と考える生き方でしたので、「捨てるなんてとんでもない!」という価値観が染みついています。
モノ不足の時代を生きてきた証です。
でもなんでも合理的に考えるお子さんとの喧嘩が絶えないのは言うまでもありません。
セミナーでは、「捨ててくれない母をどう説得すればいいのでしょうか?」という質問がダントツに多いのです。
こんな時はまず、「捨てるように説得するのをやめる」です。説得する代わりに話をじっくり聞くことから始めます。
<回想法で、人生の棚卸し>
私たちプロは、押し入れから、もろもろをアイテムごとに仕分けし、床に出して見ていただき、捨てる物ではなく、今後、使いたい、欲しいものに焦点を当てるカウンセリングで、はっきりと必要なものだけを選んでいただくやり方です。
多くのシニア層はこのやり方で、成功しています。
隠れていたものを「見える化」すると、過去の自分の人生を俯瞰してみることができ、「懐かしい~でも最後に見たからもういいです」や、「このころ○○で、楽しかったのよね~」と。
所持品についてゆっくりと語っていただく時間を作る場合にはより効果的です。
ある70代後半の女性から引っ越し荷物が片づかないので、何とかしてほしいという依頼を受けました。
引っ越し前に整理して梱包する時間がなかったせいかありとあらゆる昔の所持品まで登場!
「これは、使ってますか?」と、将棋の駒をお見せすると、「あ~これ、私じゃなくて亡くなった主人が使っていたモノでね。
昔は、夜中に大勢の会社の人、連れてきて、私は朝まで接待させられてたのよ~」と恨み節をお聞きしました。
「そんな嫌な思い出だったのですね~」といったところ、「そうよね、嫌な思い出品を持っててもしょうがないから、捨てます」とすんなり、手放していただきました。
このように良くも悪くもその方の過去に焦点を当て、その時代の思いや暮らしについて語っていただくと片を付けることができ、自然と手放せる効果があるのです。
この手法を「回想法」と言います。
過去の棚卸しをしながら、モノにまつわる話を十分にしてもらい、片を付けられるように支えるとてもやさしいやり方です。
親子でやる場合には、「お母さん、このころきれいだったね」「だから大切な思い出なんだね」という風に過去の人生に共感する、傾聴するという心理カウンセリングの考え方で行うといいでしょう。
私も、子供と一緒に写真整理をしている際に、「お母さん、子育て頑張ってきたんだね。」と言われ、涙が出てきたことがありました。
歳をとると子供にはわかってもらいたいという気持ちに拍車がかかっているのに「お母さん、そんなもの使わないんだから捨てよう!」と言われると、余計、意固地になってしまい、何としても捨てられず、片づけに対するモチベーションも落ちてしまうのです。
過去の栄光にしがみついている方でも、いざ高齢者施設に引っ越しとなると、ここぞとばかり、どんどん手放し始めます。
これには訳があります。
実はシニア層の多くは「大切なものを捨てるにはもったいないから誰かに使ってほしい」というのが本音。
つまり、手放すのはいいけれど、処分場で粉々になるのが嫌なだけというケースが多かったのです。
そこで、弊社ではまだ使えるモノはタイ・インドネシア・フィリピン・ベトナムなどにリサイクルできるシステムを作りました。
輸送費は買取額と相殺しゼロ円ですが、処分量が節約できるので喜んでいただいております。
「回想法」で対面カウンセリングしながら、心の奥底で「しめしめ機嫌よくなってきたからそのうち捨てるだろう」など考えてはばれます。(笑)
最後まで、その人の大切な人生に寄り添うという精神で行いましょう。
ただし、時間がなくてそんなことやっていられない場合は、「海外の人に使ってもらえるよ」というと少し考え方が変わります。