介護環境を改善する。介護する人される人にとっての「快適」とは
今回は、高齢者のお宅の整理収納サービスに伺った事例をご紹介します。
要介護4の高齢者のお住まいへ片づけに行くことがあります。介護者のご不満の第1位が「動きにくい」ということです。
つまりよく使うオムツや介護用品が床近くの開き戸の中にあり、腰をかがめるので、取り出しにくいなどのケースです。皆様のご実家はいかがでしょうか?
毎日の大変な介護をされている現場では、当社の収納コンサルタントが介護者へ「どんな時にどのように何を使うのか?」など念入りにヒアリングします。
皆さんは、「モノを捨てることが整理すること」だと思っていらっしゃいますが、実は捨てなくても片付くのです。
収納場所のおへそから目線までの高さにある範囲を「ゴールデンゾーン」といいますが、この高さが一番使いやすく、しまいやすい高さです。よくあるケースでは、この高さに意外と普段使っていないモノが詰め込まれているのです。
毎日は使っていないけれど、「たまに使う」という使用頻度の低い物とよく使う床近くにある物を入れ替えるだけで、想像もしていなかった「快適性」が生まれます。
ヘルパーさんやご家族の介護者が「快適」という感覚を持つと、介護される人も満足感を感じるということがわかってきました。きっと、介護者のストレスが軽減されるので、ケアが優しくなり、心が通じ合うのだと思います。
「快適空間」とは、部屋の空調や、インテリアだけではなく、
物と付き合う人間の動作にも影響があります。これは介護の有無に関係なく、皆さんのお住まいにも言えることですね。
<介護環境を整える準備も終活>
A様はまだ介護認定はされていないお元気な85歳の女性です。ご主人は5年前に他界し、現在は戸建てにおひとり暮らしをされていました。2階には娘様家族が同居しているので、程よい関係が作れる間取りです。
しかし、お部屋のいたるところがゴタゴタで、毎日「片づけよう、片づけなきゃ!!」と思っても体が動かないので大変お困りでした。
そこで、スタッフ3名、4日間で、5部屋+キッチン、水廻りが片づけました。
ゴタゴタのお部屋は寝室、ダイニング、客間、着替える部屋など各役割があり、その役割に関係するものがその部屋にアイテムごとグループで収納する意義をお伝えしながら、片づけてゆきます。
衣類はオンとオフに分け、高齢なので、季節ごとの衣替えもしなくても済むような簡単な収納プランに変えました。
初日の出来上がりに感動し、ますますやる気になってきたので、「次回までにこの箱の中の要らないものを決めといてくださいね」と宿題まで出し、快く引き受けていただきました。これは宿題形式というやり方で少しでも早く、さらに見積金額よりお安くしたいと願うお客様に適応できる方式です。
この宿題はなかなかできない方が多いのですが、びっくりしたことに次回やるといったところまで捨てる物を決めていました。「体力がないのでできない」とおっしゃっていたのに、私達スタッフに「できるところを見せたい!」と、モチベーションが上がっていたのかもしれません。また、私たちと一緒に整理することで大いに体験学習をしていることは確かです。
全部屋が完成するとお客様は大喜びでした。スタッフ一同、今までの疲れが吹き飛ぶ瞬間です。
*テイストの違う家具や装飾がごちゃごちゃと置かれていましたが、家具やモノを捨て、ソファーをL字型にレイアウト変更すると、スッキリした広いお部屋になり、装飾のランプが映えるようになりました。
「やっぱり介護をされるようになったら娘が可哀そうだからね~」と娘様思いの奥様。
ご家族だけでなく、ヘルパーさんも作業効率が良く、スピーディーな仕事をやるためにも
「介護環境を整えること」は大変重要なことと、改めてスタッフ一同学びになった日でした。
是非、皆さんもご実家の住まい環境を見直してみたらいかがでしょうか?